◎翼の折れたAN『JAL』その5
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1,年金問題対策に出遅れたJAL経営陣
さて、前回はJALの年金問題についてお話ししました。
賃金の後払い的性質をもつ「企業年金」のカットが難しいという話でしたが、
この話を聞いて「あれ?じゃああのケースはどうだったの?」と思われた方もいるかもしれません。
実は、JALの前にも大型企業において企業年金のカットが実施されています。
それが、2003年に公的支援を受けた「りそなホールディングス」です。
企業年金を削る際、りそなは合計140回以上も説明会を繰り返し、結果として約8割の退職者を説得することに成功しました。
りそなのケースと比較すると、JALの動きは遅いといわざるをえません。
この「説得」というのが、今回のような年金カット問題では極めて大きな意味をもちます。
なぜならば、充分な説得をせずに強引に退職者の3分の2の同意をとりつけて予定利率を引き下げたところで、
退職者が一括して受け取る方法を希望すれば、減額前の水準で支払うことが「確定給付企業年金法」により定められているからです。
つまり、充分な説得なしに年金をカットすることは非常に難しいのです。
2,JALの問題その2「更正法適用の難しさ」
さて、これまで色々と見てきて、
「銀行の支援やOB・OGの(年金面での)協力が得られないなら、もう裁判所のもとで法的整理した方がいいんじゃないの?」
と思った方もおられるかと思います。
しかし、この法的整理も一筋縄ではいきません。
(1)リスク1:交通インフラとしての役割が果たせなくなる
当たり前の話ですが、JALは日々飛行機を飛ばしています。
飛行機を飛ばすには、もちろん空港使用料や燃料費などがかかるわけですが、これが来年3月分までで最大6000億円もかかります。
会社更生法適用で「危ない!」との風評が広がり客足が遠のけば、一層現金不足に陥り、最悪飛行機を飛ばせなく可能性が出てきます。
こうなると、社会の交通インフラが機能しなくなり、国民も政府も困ります。
(2)リスク2:年金カットがさらに難しくなる
現状でも充分に困難な年金カットですが、会社更生法を利用するとさらに困難になります。
まず、会社更生法のもとでは、
年金債権の3分の1は、退職者に対して無条件で支払われる「共益債権」というものに分類されます。
とすると、残りの3分の2についてのみ減額が問題となることになります。
しかし、こちらも一筋縄ではいきません。
残る3分の2の年金債権が、企業間取引の一般債権よりも優先して支払われる「労働債権」とみなされる可能性があるからです。
一般債権とみなされるならば、退職者の年金債務は大幅に減額される可能性が高いですが、
労働債権とみなされるならば、多額の公的資金が、年金支払いのために使用されることとなりそうです。
このように、更正法を使いにくいこともJALの問題を複雑にしています。
→その6に続く
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実は、JALの前にも大型企業において企業年金のカットが実施されています。
それが、2003年に公的支援を受けた「りそなホールディングス」です。
企業年金を削る際、りそなは合計140回以上も説明会を繰り返し、結果として約8割の退職者を説得することに成功しました。
りそなのケースと比較すると、JALの動きは遅いといわざるをえません。
この「説得」というのが、今回のような年金カット問題では極めて大きな意味をもちます。
なぜならば、充分な説得をせずに強引に退職者の3分の2の同意をとりつけて予定利率を引き下げたところで、
退職者が一括して受け取る方法を希望すれば、減額前の水準で支払うことが「確定給付企業年金法」により定められているからです。
つまり、充分な説得なしに年金をカットすることは非常に難しいのです。
2,JALの問題その2「更正法適用の難しさ」
さて、これまで色々と見てきて、
「銀行の支援やOB・OGの(年金面での)協力が得られないなら、もう裁判所のもとで法的整理した方がいいんじゃないの?」
と思った方もおられるかと思います。
しかし、この法的整理も一筋縄ではいきません。
(1)リスク1:交通インフラとしての役割が果たせなくなる
当たり前の話ですが、JALは日々飛行機を飛ばしています。
飛行機を飛ばすには、もちろん空港使用料や燃料費などがかかるわけですが、これが来年3月分までで最大6000億円もかかります。
会社更生法適用で「危ない!」との風評が広がり客足が遠のけば、一層現金不足に陥り、最悪飛行機を飛ばせなく可能性が出てきます。
こうなると、社会の交通インフラが機能しなくなり、国民も政府も困ります。
(2)リスク2:年金カットがさらに難しくなる
現状でも充分に困難な年金カットですが、会社更生法を利用するとさらに困難になります。
まず、会社更生法のもとでは、
年金債権の3分の1は、退職者に対して無条件で支払われる「共益債権」というものに分類されます。
とすると、残りの3分の2についてのみ減額が問題となることになります。
しかし、こちらも一筋縄ではいきません。
残る3分の2の年金債権が、企業間取引の一般債権よりも優先して支払われる「労働債権」とみなされる可能性があるからです。
一般債権とみなされるならば、退職者の年金債務は大幅に減額される可能性が高いですが、
労働債権とみなされるならば、多額の公的資金が、年金支払いのために使用されることとなりそうです。
このように、更正法を使いにくいこともJALの問題を複雑にしています。
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テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済